色覚異常の遺伝

概要

生物としての様々な情報は遺伝子、つまリ染色体によって親から子に伝えられます。
人間の染色体は46個あり、これらは対をなしています。これを相同染色体といい、23対あります。
それぞれの形質を担う染色体が対をなしています。2個の内1個のみでその形質を表現する場合を「優性」といい、2個ないと表現できない場合を「劣性」といいます。
23対の内1対のみは、X染色体とY染色体からできています。X染色体が2個ある場合は女子となり、XとYがある場合は男子となります。この対を性染色体といいます。
細胞が分裂して、母細胞から娘細胞ができると、相同染色体は分裂して新しい2個の染色体となり、新しい2個の娘細胞に入り、母細胞と同じ細胞が増殖します。
生殖細胞では、娘細胞の染色体は半数になります(減数分裂)。性染色体は精子ではX染色体を持つものとY染色体を持つものに分かれます。
卵子は全て、X染色体を持ちます。卵子が×染色体を持つ精子を受精した場合は女子が生まれ、Y染色体を受精すると男子となります。

遺伝

1型・2型色覚の遺伝

日本人の場合発生頻度は男子の約5%、女子の約0.2%となっています。
男子の5%というのは20人に1人ですので、小学校の1学級を40人として半数が男子とすると、平均して1学級に1人は色覚異常の子がいる計算になります。 L錐体とM錐体の遺伝子(DNA)はX染色体の長い方の腕に乗っています。それぞれ独立したDNAがあり、つまりL錐体のDNAとM錐体のDNAは独立しています。
L錐体のDNAに異常があると、1型2色覚か1型3色覚になります。M錐体の場合は2型2色覚か2型3色覚になります。
色覚異常の遺伝形式はX染色体劣性遺伝(X-linked recessive inheritance)ですから、男子の場合はX染色体が1個しかないので異常DNAがあると色覚異常が表面に現れますが、女子の場合ではもう1個のX染色体が正常であれば、正常として表面に現れます。
このような女子を遺伝的保因者といいます。異常DNAが2つそろうと色覚異常となります。

3型色覚の遺伝

上記までの1型2型とは全く異なり、常染色体優性遺伝(autosomal dominant inheritance)です。両親のどちらかが3型色覚異常であれば、性別にかかわらず50%の確率で色覚異常が表面に現れます。非常に稀で、黒人や黄色人種より白人に多いといわれています。